7日間ブックカバーチャレンジ
【読書文化の普及に貢献する為の7日間ブックカバーチャレンジ】
1日目
【82年生まれ、キム・ジヨン】
チョ・ナムジュ
いまや、女性の社会進出は華々しく認知されている…とばかり思っていた、私が無知なのです。
82年生まれじゃ、私よりもはるかに若い方が、お国は違えど、すぐお隣の国で、女性であることに理不尽な差別を社会から当然のようにそうあるべきと受けてきた日々を淡々と私も追いかける。
「元始、女性は実に太陽であった」
という言葉をふと思い出した。
「今、女性は月である。他に依って生き、他の光によって輝く、病人のような蒼白い顔の月である」
「家庭という小天地から、親といい夫という保護者の手から…」の自由解放。
100年経っても、まだここだったんだ…。
「優遇してくれ、なんて誰もいうてへんねん。ただ同等の扱いを要求してるだけやねん。」
なるほど、まだここだったんだ…。
女、三界に家無し
まだここだったんだ…。
以前「金子文子と朴烈」という強烈な映画を見てからずっと心に残っていた日本女性。その方の物語を描いたこの書を本屋さんで偶然みつけた。
なかなかアナーキーでファンキーな、じつに興味深く惹き込まれる本だった。
特筆すべきは、この著者の文章、口が悪い(笑)
いまだかつて、こんなに口の悪い文章を本の中に見たことは、私はない。
でも、ちっとも嫌じゃないんだ。
むしろ、爽快感すらある。
3人の主人公の女たちが吐き捨てるかのように宣うたびに、スカッとするんだ。
「よう言うた!」と讃えたくなるんだ。
虐げられている弱きは、心の奥底で毒づき、今に見ておれ…と怨念を募らせる。
その情念こそが生きる力になるのだな。
もっと口汚く罵ってやれ!と思う。
100年も前にこんなに強い女たちがいたことを知る。
100年も前に、だ。
【彼女は頭が悪いから】
かの上野千鶴子女史が東大の入学式の祝辞で述べた辛口のあの演説の中に引用されていた本。
東大生による集団強制猥褻事件をモチーフにその顛末を探るという物語
如何ともし難いこの物語を、私は、女性としての立場で読み始めたのだが、いつしか、親の立場で読み進めていた。
私には娘も息子もいる。どちらの立場に立っても同じ正義を持てるのだろうか。
もしも息子の親の立場なら、歪んだ正義を叫びはしないだろうか、と。
前にこんなことがありました。
「露出の高い服装の若い女の子が痴漢の被害にあいました。世の中の多くの人達が、露出の高い服装の女の子がそもそも悪い、触ってくださいと言ってるようなものだ」などとテレビでは伝えていた。
それを見たお嬢が私にこう言いました。
「いや、アカンやろ💢どんな服装であっても、触ったらアカンもんは触ったらアカンねん💢そんなん当たり前のことやろ💢何人たりともその人の許可なしにその人の肌に触ることは許されんのんじゃぁ💢」
まったくその通りでございます。
目から鱗でした。
また子供に教えられました。
そういう正義を持ち続けなければ、読んだ甲斐がありませぬ。
そういう本でありました。
4日目
【海街diary】
もはや……これは漫画にあらず。
これは文学です、と私は言いたい。
(どっちだっていいんですけど、ね)
心の機微とか情緒とかを繊細に描いて、美しい物語を紡いでいる。
鎌倉版「細雪」とでもいえばよいのか。
(いわなくてもいいんですけど、ね)
私は、この家の隣に住むお節介なおばちゃんになって、この四姉妹の人生の行末をずっとずっと見守って暮らしていきたかった。
完結してしまったことが寂しくて寂しくて、完全なロス、泣き暮らしております。
5日目
【いつか別れる、でもそれは今日ではない】
F
この作者の言葉の使い方がとてもよくて、立ち読みからのいきなり一目惚れ、購入を即決、夢中で読んだ。
ことばの言い回し、比喩、とにかく好き。いちいち共感できる散文。
読後、居間にポーンと投げ置かれた、この本を見て、セーネンが
「これ買ったん?どうやった?おもしろかった?これ、読みたかってんなぁ、買おうかなぁと思ってたとこや!」
と言った。
え、このセンス、やっぱりわかるんや!と嬉しくなった次第。
もとより、セーネンは、言葉の選び方とかいいまわしとかが、とても私の好むところで、なので、それはまぁそうなんだろうけど、ちょっと母と息子で気持ちが通じあったようでなかなかよい瞬間であった。
6日目
【あなたには躾があるか?】
齋藤薫
齋藤薫サマはいったいおいくつなんだろう。いつまでもお美しくいらしてその美意識の高さは素晴らしすぎる。
畏れ多いが私の心の美容番長である。
齋藤薫サマは最新のコスメも教えてくれる。でも、そればかりではない。美しく生きるための心の在り方を教えてくださる。
その教えが素晴らしすぎて、お嬢の嫁入り道具に持たせたいくらいだ。
いや、それでは遅すぎる、嫁に出す為に読ませなければ…。
いやいやいや、初恋を確認した時点で読ませるべきであった(涙)
いやいやいやいや、今からでも遅くない、まだまだ人生は長い。
あなたには躾がありますか?(笑)
7日目、最終日。
ともなれば、あのお方のご本を紹介せねば終われませぬ(笑)
あぁ、私の愛しきあのお方、大江千里サマ❤️
千里サマは、自称 引越し魔と仰せの通り、しょっちゅうお引越しをくりかえしていらっしゃったそうで、その歴代のお住まいのお話の連載を一冊にされました。
その、それぞれのお住まいの想い入れやら、事件やら、がまた愉快で、千里サマがことさら愛した日本家屋の借家の縁側でお話を聞いているかのように心地よいご本であります。
千ちゃんもたくさんご本を書かれています。
あの情緒豊かに情景が浮かぶような歌詞を描かれる人なので、物語もエッセイも素晴らしい、そもそも大阪人なのでとても愉快です。
そのどれもこれも素敵なのですが、未曾有のステイホームのいま、ホーム(家)つながりです(笑)
【読書文化の普及に貢献する為の7日間ブックカバーチャレンジ】を終えてみて。
素敵な女友だちが声をかけてくださり、わけがわからないまま見様見真似でとりあえず7日間続けてみたら、それは楽しい1週間だった。
もともと本が好きなので、本を選ぶ楽しさ、文章を書く楽しさ、なによりもバトンを受け取ってくださった方のことを書く楽しさ、ワクワクするような日々でした。
私に声をかけてくれて、ありがとう🌸楽しかった❤
「読書は『感情の経験』です。」
と仰ったのは、息子の小学一年生の時の担任の先生だった。
「おそらく一生経験しないであろう体験も読書の中で経験し、その感情を学んでいく、だから、子どもたちには本をぜひ読ませてあげてほしい!」
と入学式の後のオリエンテーションで仰った。読書、と聞けば、かならずこの先生の言葉を思い出します。
小学生だけではありません、読書量は老眼のためにガクンと減った50歳越えの大阪のおばちゃんも、いまだ、あり得ない体験を、感情の経験を、繰り返しているのです。
私は、
韓国の小さな町の住人にもなり、
100年も前の監獄の独房にも入り、
東京の街の大学生にもなり、
鎌倉の切通しを吹きぬける風をうけ、
東京タワーの下で恋をして
美容家のドレッサーを覗き
日本家屋の縁側でお茶を飲む
という七日間を過ごしたのです。
幸せな日々でした。
幸せなことなので、声を大にして言おう!
やっぱり本が好きです、私。