お正月の鬼
なんと、元旦の夜半から高熱を出して、激しい悪寒に震えておりましたら、やはり案の定インフルエンザという、なんとも如何ともしがたい…まさに目出度いが吹っ飛ぶような三ヶ日を過ごしていました。
私のまわりにはインフルエンザの噂もきかず、ましてや、私は、高齢の母とともにインフルエンザ予防接種まで済ましているし、それにあの(強さひきだす乳酸菌)ヨーグルトドリンクを毎朝欠かさず飲んでいる。
その私が、よりによって、なぜこの私が…そしてなおも重ねて、よりによって、なぜ元旦の朝に…インフルエンザになるかなぁ。
実際には、本当につらいものでした。
あの激しい悪寒は耐えがたい。全身を針で突かれているようだった。
いやそれよりも激しい頭痛、頭が梵鐘、除夜の鐘を打たれているようだった。
とにかくインフルエンザは普通の風邪とはレベルが違うのだ。
熱も最高点は39.5をマークした。
休日診療所はあいかわらずの大賑わい(?、笑)インフルエンザじゃなくてもインフルエンザにかかってしまうに違いない。
子どもたちが幼いころには何度となく来たが、まさか私が来ることになろうとはよもや思ってもみなかった。
それにしてもなんで小さな子どもは、休みの日に限って発熱するのだろう。
年末年始はいつも大混雑だ。
この耐えがたい全身を覆うような悪寒を、私のまわりでぐったりしている小さな子どもたちも耐えているのだと思うと、この混雑の一因となっているオトナのおばちゃんとしては申し訳なくなる。透明人間になりたい気持ちだ。
そして、そのあとはひたすら横になるしかない、三ヶ日寝正月となってしまった。
家族のせっかくのお正月を台無しにしてしまった。
「あけましておめでとう」の言葉もなかった。
申し訳ないの気持ちでひたすらベッドにもぐりこんで小さくなっていた。
正月二日明け方、ようやく起きてお台所にいくと、お嬢が笑う。
「かあさん、あかんな。予防接種も打っといて(強さひきだす乳酸菌)ヨーグルトドリンクも飲んどいて、毎年インフルかかってんのん、かあさんだけやで!」
へ???朦朧とする沸騰中の脳みそをかき回しながら考える。
そうだ、思い出した。
昨年もあってはならない時にまさかの罹患の憂き目にあった。
セーネンの受験の、私立入試週間スタートの朝に私はインフルエンザにかかった。
これには凹んだ。自分の運命を呪った。
あれほど「私にできることと言ったら予防接種と(強さひきだす乳酸菌)ヨーグルトドリンク!インフルエンザ対策だけは万全!」と自信満々で臨んでいたのに、まさか己がぶっ倒れるなどあってはならないことなのに。
そして、このインフルエンザがセーネンに感染るなんてことになれば、彼に合わせる顔がない。
「受験の日のお弁当さえも作ってやれないこの母を許しておくれ〜」と時代劇のようにゴホゴホ言いながら虚弱に言うと、
「かまへんで〜寝とけ!寝とけ!」とあっけらかんと言う。
感染もせず、無事に合格ももぎとり、事なきを得た感じで私の闘いは終わった。
脱線しますが、このとき、彼のお弁当の豚汁(試験のおべんは温かくて食が進むように豚汁という家ルール)をつくってくれたのはお嬢でした。
はじめての豚汁を私の口頭説明だけでつくってくれた。
よほどの出来栄えだったのだろう、階下から「天才や〜!天才や〜!」という雄叫びが聞こえてくる。「なんべん味見しとんねん」と思いながら感心していた。
閑話休題。
それにしたって、なんで、こんなハレの日に限って罹患するなんて、どんな一年になるのかしらん、と憂いておりましたら、「『今年も身体に気をつけなはれや〜油断してたらえらい目に遭いまっせ〜』っちゅう意味ちゃいまっか」と慰めていただきました。
更年期障害にはいたらずとも不定愁訴やら、ぎっくり腰以来は足腰だっておっかなびっくりでなんでもないいとこでつまづいて足が上がってへんで〜と嘆き、代謝も悪くて太る一方、肝臓も弱くなってきたのかビールも進まないし、なんといっても、とうとう逆流性食道炎ってどういうこと?
私って、ひょっとして病弱?
この健康優良児まるまる体型のこの私が病弱?
でも、ちょっと注意深く、身体にお伺いをたてながら過ごさねばなるまい、でなけりゃ、三ヶ日寝正月の意味がない!というわけで、ことしは「身体を労る」という目標で暴飲暴食(そこかよ、笑)をみつめなおしたいと思います。